M&AのPMIとは?買収後の統合の進め方と、成立前から準備したいポイント

M&AのPMIとは?買収後の統合の進め方と、成立前から準備したいポイント。PMIで取り組む経営統合、信頼関係の構築、業務統合の3つの領域をアイコンで示した画像

PMIとは、M&Aの成立後に経営や業務、人の関係をまとめ、M&Aの目的を実現するための取り組みです。準備はM&Aの成立前から始めます。PMIで取り組むこと、進め方、担い手と相談先、売り手・買い手それぞれの注意点を解説します。

M&AのPMIとは

PMIの意味

PMI(Post Merger Integration)とは、主にM&Aの成立後に行う統合の取り組みです。M&Aの目的を実現し、統合の効果を最大にするために必要です(出典:中小PMIガイドライン p.10/中小企業庁、2022年3月)。日本語では「買収後の統合作業」などと呼ばれます。

M&Aの成功は、M&Aが成立したかどうかでは決まりません。M&Aの目的として期待した効果を実現できたかどうかで決まります。中小PMIガイドラインでは、最終契約の締結とクロージング(株式や事業の引渡しと代金の支払い)は、いわば「スタートライン」にすぎないとされています(出典:中小PMIガイドライン p.5・10/中小企業庁、2022年3月)。

株式譲渡では、対象会社は買い手の子会社として残ります。そのため、2つの会社を厳密な意味で一つにまとめる必要があるとは限りません。ただし、買い手と対象会社が一体となって成長していくには、経営や業務の面で一定のすり合わせが必要です。中小PMIガイドラインでは、こうしたすり合わせも「統合」に含めています(出典:中小PMIガイドライン p.10/中小企業庁、2022年3月)。

M&Aのどの段階で行うのか

PMIは、M&A全体の流れの中では下図の13にあたります。全体の流れは、「M&Aの流れとは?検討から成立後まで、進め方を順を追って解説」で解説しています。

M&Aの流れを4つの段階と13の工程で示し、売り手と買い手がそれぞれ行う工程を整理した図(企業価値評価とM&Aの方法の検討は売り手のみ)
  1. クロージング:株式や事業の引渡しと代金の支払いを行う
  2. 従業員・取引先への説明と引継ぎ:M&Aの成立を関係者に伝え、業務を引き継ぐ
  3. PMI:組織・業務・人材などをまとめ、M&Aの目的の実現を目指す

PMIは名前に「POST(後)」が付くため、M&Aの成立後に考えればよいと思われがちです。しかし、M&Aの目的の整理や対象会社の現状の把握など、PMIの準備は成立前から始める必要があります。中小PMIガイドラインでは、PMIの時期を次のように分けています(出典:中小PMIガイドライン p.10・18/中小企業庁、2022年3月)。

時期 主な内容
プレPMI(成立前) M&Aの検討と並行して、成立後に必要な情報を集め、取り組みを計画する
集中実施期(成立後、概ね1年) 優先順位を付けてPMIに取り組む。特に最初の100日までを目途に、体制づくり、関係者との信頼関係づくり、現状把握などを集中的に行う
ポストPMI(それ以降) 取り組みを振り返り、方針を見直しながら、数年単位で続ける

最初の100日でPMIを終えるわけではありません。100日は、その後の取り組みに向けて基礎を固める期間の目安です。

なぜPMIが必要なのか

買い手は、M&Aの前にデューデリジェンス(DD)などで対象会社を調べます。ただし、成立前に得られる情報には限りがあり、調査だけですべての課題を解決することはできません(出典:中小PMIガイドライン p.11/中小企業庁、2022年3月)。デューデリジェンスについては、「M&Aのデューデリジェンス(DD)とは?目的・主な種類・流れと、売り手・買い手の注意点」で解説しています。

中小PMIガイドラインで紹介されている調査では、M&Aの満足度が期待を下回った理由として、「相乗効果(シナジー)が出なかった」「相手先の経営・組織体制が弱かった」「相手先の従業員に不満があった」などが挙げられています。いずれも、M&A後の統合に関わる問題です(出典:中小PMIガイドライン p.12/中小企業庁、2022年3月)。

PMIは、売り手にも関係します。売り手の多くがM&Aで重視する従業員の雇用、事業の発展、取引先との関係も、PMIの進め方に大きく左右されます(出典:中小PMIガイドライン p.11/中小企業庁、2022年3月)。

PMIで取り組む3つの領域

中小PMIガイドラインでは、PMIの取り組みを「経営統合」「信頼関係の構築」「業務統合」の3つの領域に分けています(出典:中小PMIガイドライン p.10・39/中小企業庁、2022年3月)。

1. 経営統合

経営統合とは、経営の方向性、経営体制、意思決定の仕組みなどをそろえる取り組みです。

例えば、M&Aで何を目指すのかを言葉にし、売り手の経営者や対象会社の従業員、取引先に説明します。その際、これまでと変わらない点もあわせて示すと、関係者の不安を和らげることができます(出典:中小PMIガイドライン p.41〜42/中小企業庁、2022年3月)。

2. 信頼関係の構築

信頼関係の構築とは、売り手の経営者や対象会社の従業員、取引先などとの信頼関係をつくる取り組みです。経営方針を浸透させ、お互いを理解することを目指します。

例えば、従業員への説明会や個別面談、主要な取引先への訪問などです。具体的な注意点は、後の「買い手がPMIで注意したい4つのポイント」で解説します(出典:中小PMIガイドライン p.10・43〜52/中小企業庁、2022年3月)。

3. 業務統合

業務統合とは、営業や仕入れ、製造などの事業と、人事、会計、法務、ITシステムなどの管理の仕組みをそろえる取り組みです。

まずは、事業を止めずに引き継ぐことが基本です。そのうえで、売上やコストの面でシナジーを生む取り組みを進めます(出典:中小PMIガイドライン p.10・39・56/中小企業庁、2022年3月)。シナジーの種類は、「M&Aのシナジーとは?種類と譲渡価格との関係」で解説しています。

PMIの進め方|5つのステップ

中小PMIガイドラインでは、PMIを次の5つのステップで進めることを示しています(出典:中小PMIガイドライン p.19〜24/中小企業庁、2022年3月)。

1. M&Aの目的を明確にし、成功を定義する

M&Aを検討する段階で、M&Aで何を目指すのか、何が実現できればM&Aが成功したと言えるのかを言葉にしておきます。PMIを進める中で困ったときに立ち返る原点になり、取り組みを振り返るときの基準にもなります(出典:中小PMIガイドライン p.20/中小企業庁、2022年3月)。

中小M&Aの目的は、主に、事業の存続や雇用の維持を目指す「持続型」と、シナジーによる成長を目指す「成長型」に分けられます(出典:中小PMIガイドライン p.25/中小企業庁、2022年3月)。買い手のM&Aの目的は、「【買い手向け】M&Aの目的とは?自前での事業成長(オーガニックグロース)との違い」で解説しています。

2. PMIを意識して事前に準備する(プレPMI)

成立後に必要になる情報を、トップ面談やデューデリジェンスなどを通じて集めておきます。

デューデリジェンスは主に書面で確認するため、対象会社の事業のすべては分かりません。成立後に現場に入り、従業員から直接話を聞いて初めて分かることも少なくありません。そのため、何がまだ分かっていないかを整理し、成立後の最初の時期に何をするかを計画しておくことが重要です(出典:中小PMIガイドライン p.21/中小企業庁、2022年3月)。

3. PMIを進める体制をつくる

PMIを進めるには、主に「重要な意思決定」「企画・推進」「実務作業」の3つの役割が必要です(出典:中小PMIガイドライン p.26/中小企業庁、2022年3月)。

中小企業同士のM&Aでは、どちらの会社も人員に余裕がないことが多く、買い手の経営者が複数の役割を兼ねるのが一般的です。買い手から信頼できる従業員を派遣したり、対象会社から信頼できる従業員を選んだりして、協力を得ながら進めます(出典:中小PMIガイドライン p.32/中小企業庁、2022年3月)。

4. 集中実施期に、優先順位を付けて取り組む

M&Aの直後は、対象会社の経営や事業が不安定になりやすいため、できるだけ早くPMIに取り組みます。対象会社の現状を詳しく把握し、方針を検討して計画を立て、実行と検証を行います(出典:中小PMIガイドライン p.23/中小企業庁、2022年3月)。

ただし、人員や資金に限りがある中小企業では、すべての課題に一度に対応するのは現実的ではありません。重要度、緊急性、実行のしやすさを考えて優先順位を付け、成立後概ね1年を目途に集中して取り組みます。デューデリジェンスで指摘された課題から検討すると進めやすくなります(出典:中小PMIガイドライン p.23・27/中小企業庁、2022年3月)。

例えば、買い手と対象会社が別々に仕入れている品目をまとめて調達すると、仕入単価を引き下げられる場合があります。ただし、まとめても十分な購入量にならず、期待した効果が出ないこともあります(出典:中小PMIガイドライン p.85〜86/中小企業庁、2022年3月)。こうした取り組みは、効果と実行のしやすさを確かめてから、順番を決めて進めます。

5. その後も見直しながら続ける(ポストPMI)

集中実施期の結果を踏まえて、次の目標に向けて方針を見直します。PMIは数年単位の長い取り組みになることもあります。当初の目的に対して成果はどうだったか、目的を達成できる見通しはあるかを振り返り、取り組みを続けます(出典:中小PMIガイドライン p.24/中小企業庁、2022年3月)。

PMIの担い手と相談先

誰がPMIを進めるのか

PMIを主に進めるのは買い手です。中小PMIガイドラインも、買い手が取り組むべきことを整理したものです(出典:中小PMIガイドライン p.5/中小企業庁、2022年3月)。

一方で、売り手の経営者もPMIに関わります。中小M&Aガイドラインでは、クロージングの後も、売り手の経営者は買い手による円滑な引継ぎに向けて誠実に対応することが求められています。また、最終契約で具体的な協力義務を定めた場合は、その内容に従って対応する必要があります(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.56/中小企業庁、2024年8月30日公表)。

専門家・支援機関の役割

PMIで扱う内容は幅広いため、社内の人材だけでは専門的な知識が足りないこともあります。中小PMIガイドラインでは、必要に応じて、次のような専門家・支援機関の助言や支援を受けることが望ましいとされています(出典:中小PMIガイドライン p.22・36/中小企業庁、2022年3月)。

分野 主な相談先
経営統合、事業の統合 中小企業診断士、経営コンサルタントなど
人事・労務 社会保険労務士、弁護士など
会計・財務 公認会計士、税理士など
法務 弁護士、司法書士など
ITシステム ITベンダーなど

M&A専門業者(M&A仲介・FA)の支援は、基本的にクロージングの時点で終わります(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.57/中小企業庁、2024年8月30日公表)。M&A専門業者によっては、M&A仲介やFA(フィナンシャル・アドバイザー)としての通常の業務とは別に、PMIの支援を提供している場合もあります。PMIの支援を受けられるか、受ける場合の費用はどうかを、契約の前に確認しておきましょう。アドバイザリー契約で確認したい点は、「M&Aのアドバイザリー契約とは?主な内容と締結前に確認したい7つのポイント」で解説しています。

また、M&Aの過程で集めた資料は、PMIを進める担当者や専門家に引き継げるよう保管しておきます。例えば、企業概要書、デューデリジェンスの報告書、売り手とのQ&Aなどです(出典:中小PMIガイドライン p.36/中小企業庁、2022年3月)。

中小企業庁は、中小PMIガイドラインのほか、PMIに取り組むための「PMI実践ツール」(PMI分析ワークシート、PMIアクションプラン、統合方針書)も公開しています(出典:PMIを実施する/中小企業庁)。

国の支援策

PMIにかかる費用には、国の支援策を使える場合があります。例えば、事業承継・M&A補助金には「PMI推進枠」があり、PMIで専門家を活用する費用や、統合に伴う設備投資などの費用の一部が補助の対象になります(出典:事業承継・M&A補助金について/事業承継・M&A補助金、2026年10月13日確認)。また、日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」は、一定の要件を満たしてPMIに取り組む場合の設備資金・運転資金も対象にしています(出典:事業承継・集約・活性化支援資金/日本政策金融公庫、2026年10月13日確認)。

対象となる要件や補助額は公募の回ごとに変わります。利用する場合は、最新の公募要領や各機関の窓口で確認しましょう。

買い手がPMIで注意したい4つのポイント

1. 売り手のこれまでのやり方を否定しない

売り手の経営者や対象会社の従業員のこれまでの取り組みには、敬意を持って接することが大切です。中小PMIガイドラインでは、M&Aの直後から買い手の「当たり前」を次々に持ち込んだ結果、対象会社の従業員の協力を得られなくなった失敗例が紹介されています(出典:中小PMIガイドライン p.43・46/中小企業庁、2022年3月)。

業務のやり方を変える必要がある場合も、対象会社のこれまでのやり方を否定せず、変える理由を丁寧に説明しましょう。

2. 従業員への伝え方に配慮する

M&Aを知った従業員は、会社の将来や自分の処遇に不安を感じやすくなります。中小PMIガイドラインでは、M&Aに関する情報を、遅滞なく、すべての従業員に、同時に、等しく、正確に伝えることが重要とされています(出典:中小PMIガイドライン p.46/中小企業庁、2022年3月)。伝える順序の一例は次のとおりです。

  • キーパーソンへの事前説明:業務や周りの従業員への影響が大きい従業員(キーパーソン)には、基本合意の後に、秘密保持に注意しながら個別に先に説明し、協力を求めます。
  • 全員への説明:M&Aの成立後すぐに(例えば成立初日に)、すべての従業員に向けた説明会を開きます。M&Aの目的や今後の経営方針、労働条件などを、売り手の経営者と一緒に説明します。
  • 説明後の個別面談:一人ひとりと面談し、説明会の内容を補いながら、不安や疑問を聞きます。

(出典:中小PMIガイドライン p.46〜48/中小企業庁、2022年3月)

3. 主要な取引先には、売り手の経営者と一緒に説明する

主要な取引先には、M&Aの成立直後に、売り手の経営者と一緒に訪問して説明します。M&Aによって取引の継続に大きな影響が出るおそれがある場合は、成立前に訪問するかどうかも、売り手の経営者とよく相談して決めます(出典:中小PMIガイドライン p.49〜50/中小企業庁、2022年3月)。

あわせて、取引先との契約に、株主が変わったときに相手方が契約を解除できる条項(COC条項、チェンジ・オブ・コントロール条項)がないかを確認します。COC条項については、「M&Aのクロージングとは?」で解説しています。

4. デューデリジェンスで分からないことがある前提で、現状を把握する

成立後は、対象会社の業務の実態をできるだけ広く、詳しく把握します。その際、次の点に注意します(出典:中小PMIガイドライン p.53〜54/中小企業庁、2022年3月)。

  • デューデリジェンスでは見つからなかった問題があること
  • 売り手の経営者や一部の従業員にしか分からない業務があること
  • 業務の規程や帳票がない、または実態と合っていないことがあること

見つかった課題のうち、法的なリスクや事業が止まるリスクが高いものには、売り手の経営者や専門家の協力を得て速やかに対応します。

売り手がPMIで確認したい3つのポイント

1. 引継ぎの期間と役割を、最終契約の前に決める

M&Aの後、売り手の経営者がどのように関わるかは、最終契約の前に買い手と決めておきます。会社に残らない場合と、役員や顧問として残る場合とで、決めることが異なります。

  • 会社に残らない場合:クロージングと同時に会社を辞めることもありますが、一定期間、引継ぎに協力することが多いです。引継ぎの内容や期間、その間の役割や報酬を確認し、覚書などの書面にしておきます。必要な期間を見積もりにくい場合は、例えば半年ごとに更新する契約にしておく方法もあります。
  • 役員や顧問として残る場合:役職、役割、在籍期間、報酬などを事前に合意し、書面にしておきます。

(出典:中小PMIガイドライン p.44/中小企業庁、2022年3月)

売り手の経営者が役員として残る場合は、M&Aの時点では役員退職慰労金を支払わず、将来退任するときに支払うことがあります。将来の退職慰労金は、M&A後の対象会社の負担となるため、譲渡価格を決める際に考慮することがあります。役員や顧問として残る場合は、退職慰労金の税務上の取り扱いにも注意が必要です。具体的な条件は、税理士に確認しましょう(出典:中小PMIガイドライン p.45/中小企業庁、2022年3月)。役員退職慰労金を最終契約でどう定めるかは、「M&Aの最終契約とは?最終契約書で決める主な内容と、締結前に確認したいポイント」で解説しています。

2. 従業員・取引先への説明に協力する

従業員への説明会では、売り手の経営者がM&Aに至った経緯や従業員への感謝を話し、買い手の経営者がこれからの経営方針や処遇を話す方法があります(出典:中小PMIガイドライン p.47/中小企業庁、2022年3月)。長く一緒に働いてきた経営者が自ら話すことで、従業員が安心して受け止めやすくなります。

主要な取引先への訪問にも同行し、これまでの取引の経緯や、口頭での取り決めなどを買い手に伝えましょう。取引条件の背景を知らないまま交渉して、話がこじれた失敗例も紹介されています(出典:中小PMIガイドライン p.49〜50/中小企業庁、2022年3月)。

3. 自分にしか分からない業務を引き継ぐ

中小企業では、経営者だけが判断していた業務や、経営者の家族が担っていた業務が少なくありません。中小PMIガイドラインでは、資金管理を一手に担っていた経営者の配偶者がM&Aの後に退職し、取引先への重要な支払いが滞った失敗例が紹介されています(出典:中小PMIガイドライン p.53/中小企業庁、2022年3月)。

自分が担っていた役割、取引先との経緯、日々の判断の基準などを、書面や同行を通じて買い手に引き継ぎましょう。中小M&Aガイドラインでは、こうした引継ぎの作業には3か月〜1年程度かかることが多いが、案件によって異なるとされています(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.57/中小企業庁、2024年8月30日公表)。

FAQ

PMIの準備はいつから始めるべきですか?

PMIは主にM&Aの成立後に行いますが、準備はM&Aを検討する段階から始めることが望ましいとされています。中小PMIガイドラインで紹介されている調査では、M&Aで「期待を上回る」または「ほぼ期待どおり」の成果が得られたと答えた企業の約6割が、基本合意の前またはデューデリジェンスの期間中にPMIの検討を始めていました(出典:中小PMIガイドライン p.13/中小企業庁、2022年3月)。まずは、M&Aで何を目指すのかを言葉にすることから始めましょう。

株式譲渡で会社がそのまま残る場合も、PMIは必要ですか?

株式譲渡で対象会社がそのまま残る場合も、PMIは重要です。組織や業務を必ずしも一つにまとめる必要はありませんが、M&Aの目的に応じて、経営の方向性や意思決定の方法などをすり合わせることが求められます(出典:中小PMIガイドライン p.10/中小企業庁、2022年3月)。

PMIにはどのくらいの期間がかかりますか?

中小PMIガイドラインでは、M&Aの成立後概ね1年を集中して取り組む期間とし、特に最初の100日までを目途に、体制づくりや関係者との信頼関係づくり、現状把握を集中して行うとしています。その後も、方針を見直しながら数年単位で取り組みを続けることがあります(出典:中小PMIガイドライン p.18・24/中小企業庁、2022年3月)。売り手から業務を引き継ぐ期間の目安は、「M&Aのクロージングとは?」のFAQで解説しています。

まとめ|PMIで、M&Aの目的を実現する

PMIは、M&Aの成立後に経営や業務、人の関係をまとめ、M&Aの目的を実現するための取り組みです。M&Aの成功は、成立したかどうかではなく、期待した効果を実現できたかどうかで決まります。

PMIは、経営統合、信頼関係の構築、業務統合の3つの領域で進めます。M&Aの目的を言葉にし、成立前から準備を始め、成立後の概ね1年は優先順位を付けて集中して取り組みます。買い手は、対象会社のこれまでのやり方を尊重し、従業員や取引先への伝え方に配慮しましょう。売り手は、引継ぎの期間と役割を最終契約の前に決め、自分にしか分からない業務を確実に引き継ぐことが大切です。

まずは、M&Aで何を目指すのかと、成立後の体制や最初の取り組みを、M&A専門業者や専門家と相談しながら計画しましょう。M&A全体の流れは「M&Aの流れとは?検討から成立後まで、進め方を順を追って解説」、成立の手続きは「M&Aのクロージングとは?当日の流れ・必要書類と、クロージング前後に確認したいポイント」、シナジーの考え方は「M&Aのシナジーとは?種類と譲渡価格との関係」で解説しています。