【売り手向け】M&Aのショートリストとは?候補先の絞り方と注意点

M&Aのショートリストとは?候補先の絞り方と注意点。ロングリストから候補を絞り込み、打診先を確認するまでの流れを3つのアイコンで示した画像

ショートリストは、ロングリストから具体的に検討する買い手候補を絞った一覧です。本記事では、売り手が確認する記載項目と作成方法、候補先の比較や情報開示で注意する点を解説します。

ショートリストとは

ロングリストとの違い

ロングリストは買い手候補を幅広く挙げた一覧、ショートリストは売り手の希望や判断基準に照らして候補を絞った一覧です。条件に合う相手へ、確認や面談の時間を振り向けるために使います。

【売り手向け】M&Aのロングリストとは?記載項目・作成方法と注意点

中小M&Aガイドラインでは、ショートリストは数社程度となることが多いとされています。必要な社数を定めたものではありません(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.20/中小企業庁、2024年8月30日公表)。

相手探しの流れで使う

本記事では、ロングリストをM&A専門業者(M&A仲介・FA)と相談して絞り、選んだ相手へ打診する流れを扱います。M&Aの流れでは、買い手探しの段階にあたります。

ガイドラインでは、基本的には、会社が特定されないよう概要をまとめたノンネームシート(ティーザー)で打診し、関心を示した相手から候補を絞るとされています。一方、情報の拡散を防ぐため、打診前に絞るケースも示されています(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.19〜20/中小企業庁、2024年8月30日公表)。

打診後に絞る場合は、相手が関心を持った理由や検討の進み具合も判断材料になります。関心があるという返答だけで判断せず、候補先の社内でどこまで検討が進んでいるかも確認しましょう。

ショートリストの記載項目

ロングリストに記載された社名・所在地・事業内容などの基礎情報に加え、選定理由を振り返れる項目や、相手とのやり取りの経過も記載できます。

  • 候補を選んだ理由
  • 見込むシナジー(相乗効果)
  • 希望条件に対する所見、優先順位
  • 相手から聞いた意向、確認日、次に確認する事項

上記は記載項目の一例です。選定時点の判断と、候補先から実際に聞いた内容を区別して記録します。

ショートリストの作成方法

ロングリストから候補を絞る方法の一例を、5つの手順で紹介します。

1. 絞り込みの軸を確認する

ロングリストの作成時に整理した希望条件と自社の強みを見直します。「従業員の雇用を維持したい」「今の拠点で事業を続けたい」など、何を優先して候補を残すかをM&A専門業者と確認しましょう。

2. 候補ごとに評価されそうな点を考える

自社の顧客基盤・技術・人材・拠点のうち、候補先が何を評価しそうかを考えます。例えば、候補先の販路に自社の拠点が加わることで、候補先が販売地域を広げられないか、などが考えられます。

3. 候補を買収目的ごとに整理する

「販売地域を広げる」「技術や人材を確保する」など、想定する買収目的ごとに候補を整理します。複数の目的に当てはまる相手もあります。目的の近い候補を並べると、事業の組み合わせや自社を評価しそうな理由を比較しやすくなります。

4. 希望する引継ぎに照らして順位を付ける

雇用や事業継続など、M&Aで実現したいこととの合い方から優先度を決め、理由を記録します。その時点で分かる買収資金や引継ぎ後の運営体制も判断材料にしましょう。

買い手候補の調査については、M&A専門業者に内容・実施時期・結果の説明範囲を確認します。選定時点ですべての調査が済んでいるとは限りません。中小M&Aガイドラインでも、M&A専門業者による調査には限界があり、候補先の信用を保証する水準で行うのは難しい面があるとされています(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.100〜102/中小企業庁、2024年8月30日公表)。ショートリストに載ったからといって、候補先の信用が保証されるわけではありません。

5. 打診してよい相手か確認する

知られたくない取引先や競合先が残っていないかを確認します。打診を避けたい先を伝え、打診先と順番をM&A専門業者と共有しましょう(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.44/中小企業庁、2024年8月30日公表)。

注意点

M&Aの目的や方針に沿って絞り込む

提示価格への期待や担当者の印象だけで選ばず、自社が実現したいことに照らして判断しましょう。材料が足りない場合は、次に聞く事項を整理します。想定したシナジーは、実現が確定した効果ではありません。

情報漏洩を防ぐ

打診先・渡す資料・開示する範囲を確認します。ノンネームシートでも、内容の組み合わせから会社を推測される場合があります。

ネームクリアとは、売り手の同意を得て、秘密保持契約を結んだ候補先に社名を明かすことです。ショートリストへの掲載だけで、社名開示に同意したことにはなりません。原則として開示先ごとに同意を確認し、ネームクリアにあわせて企業概要書などを開示します(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.93〜94/中小企業庁、2024年8月30日公表)。誰に・いつ・何を開示したかも記録しておきましょう。

FAQ

ショートリストは必ず複数の候補先を残すのですか?

必ず複数の候補先を残す必要はありません。社数をそろえることが目的ではありません。候補の状況と売り手の希望を踏まえて相談し、数を増やすために条件の合わない相手を残すことは避けましょう。

ショートリストに入った相手とは必ず交渉しますか?

候補に選ぶことは、交渉や成約の決定ではありません。追加情報や双方の意向によって、検討を見送る場合もあります。

ショートリストの候補先がすべて辞退した場合は、どうなりますか?

辞退理由を確認し、ロングリストの別候補の選定や、探索範囲・条件の見直しを相談します。別のM&A専門業者への切り替えを検討する場合は、アドバイザリー契約の専任条項や契約終了後の手数料の定めも確認しましょう(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.46/中小企業庁、2024年8月30日公表)。

まとめ

ショートリストでは、残す候補・選定理由・次の確認事項を明らかにします。まずは希望条件と打診を避けたい相手を整理し、M&A専門業者と打診の順番や情報開示の進め方を相談しましょう。

トラストベースでは、M&Aを検討する経営者のご相談を承っています。譲渡先に求める条件の整理からご相談ください。

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