M&Aの条件交渉とは?交渉する主な条件とタイミング、売り手・買い手が気をつけたいポイント

M&Aの条件交渉とは?交渉する主な条件とタイミング、売り手・買い手が気をつけたいポイント。希望条件の整理、基本合意前の交渉、最終契約前の交渉の流れを3つのアイコンで示した画像

M&Aの条件交渉は、譲渡価格や従業員・経営者の処遇などを話し合い、合意を積み重ねる過程です。主な2つの交渉タイミングと、交渉する条件、売り手・買い手が準備しておきたいことを解説します。

M&Aの条件交渉とは

条件交渉の意味

M&Aの条件交渉とは、売り手と買い手が、譲渡価格、M&Aの方法、従業員・経営者の処遇などについて話し合い、合意を積み重ねていく過程です。会社をいくらで譲渡するかに加え、誰に何を引き継ぎ、譲渡後にどのような関係を続けるかも話し合います。

条件は、一度の話し合いですべて決まるわけではありません。基本合意書で主な条件の目安を合意し、デューデリジェンス(DD)の結果を踏まえて、最終契約で条件を確定します。デューデリジェンスは、主に買い手が、対象会社の財務・法務などの実態やリスクを調べることです。

ただし、交渉の進め方は、売り手と買い手の関係や事業の近さ、支援するM&A専門業者(M&A仲介・FA)との関係などによって異なります。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.21・46〜48/中小企業庁、2024年8月30日公表)

M&A専門業者が果たす役割

M&A専門業者は、交渉の論点を整理し、条件の交渉・調整を支援します。M&Aの方法の提案、経営者保証の扱いの調整、最終契約の内容への助言なども、支援内容に含まれます。交渉の窓口をM&A専門業者に一本化して進めることもあります。

ただし、依頼先がどの立場で支援するかを理解しておく必要があります。M&A仲介は売り手と買い手の双方から依頼を受けるため、譲渡価格の交渉など、両者の利益が対立する場面でできる支援には限界があります。

一方、FA(フィナンシャル・アドバイザー)は、売り手か買い手の一方の立場で支援します。自分の立場から条件を検討する助言が必要であれば、FAへの依頼や、弁護士・税理士への相談を検討しましょう。最終契約の内容については、売り手・買い手の双方が弁護士等に確認を依頼することが推奨されています。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.73・91・98・104/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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条件交渉が行われる主な2つのタイミング

条件交渉の進め方は案件によって異なりますが、主な条件を整理する基本合意前と、デューデリジェンスの結果を踏まえて最終条件を決める最終契約前が、重要な交渉のタイミングになります。

M&Aの条件交渉が行われる主な2つのタイミングを示した図。検討・準備から相手探しと交渉、デューデリジェンスと最終契約までの流れの中で、1つ目は意向表明書の提出後から基本合意書の締結まで、2つ目はデューデリジェンスの後から最終契約の締結までであることを示している
タイミング 前後の手続き 主に交渉する条件 合意する書面
① 基本合意前 トップ面談・意向表明書の後から、基本合意書の締結まで M&Aの方法、譲渡価格・支払い方法、経営者・従業員の処遇、経営者保証など 基本合意書
② 最終契約前 デューデリジェンスの後から、最終契約の締結まで すべての条件。表明保証・補償、クロージング(株式や事業の引渡しと代金の支払い)の前提条件を含めて調整 最終契約書

※①②は本記事での整理です。実際には、それ以前やデューデリジェンスの実施中にも条件の調整が行われることがあります。意向表明書の提出や基本合意書の締結を省略する案件もあります。

1. トップ面談・意向表明書の後から基本合意書の締結まで

トップ面談で経営者同士が相手の考えを知り、意向表明書で買い手が希望条件を示した後、基本合意書の締結に向けて主な条件を交渉します。

この段階では、主に次の条件を話し合います。

  • 株式譲渡・事業譲渡など、M&Aの方法と譲渡する範囲
  • 譲渡価格と支払い方法
  • 経営者の処遇と引継ぎの期間・役割
  • 従業員の雇用と処遇
  • 経営者保証と借入金の扱い

合意した内容は基本合意書にまとめます。ただし、この段階の譲渡価格は、デューデリジェンス前の予定額です。後の調査や交渉によって変わることがあります。

基本合意書の主な条件には原則として法的拘束力がなく、独占交渉権や秘密保持義務などには法的拘束力を持たせるのが通常です。どの条項に拘束力があるかは、個別の基本合意書の内容を確認しましょう。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.21・46〜47/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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2. デューデリジェンスの後から最終契約の締結まで

デューデリジェンスで分かった点や、基本合意の段階で決めずに残していた事項について交渉し、最終契約で条件を確定します。

この段階では、譲渡価格や経営者・従業員の処遇などを含む、すべての条件が交渉の対象になります。特に、表明保証・補償と、クロージングの前提条件は、この段階で主に交渉します。

譲渡価格や支払い方法は、デューデリジェンスの結果を踏まえて調整されることがあります。調査をしたから必ず価格が下がるわけではありません。

最終契約を結ぶ前には、交渉した条件が契約書に漏れなく書かれているかを確認します。M&A専門業者や弁護士の助言を受けながら、当事者自身も、合意した内容と契約書が一致しているかを確認することが大切です。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.48〜49/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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条件交渉で話し合う主な条件

主な交渉項目とタイミングは、次のとおりです。①は基本合意前、②はデューデリジェンス後から最終契約までを指します。

条件 主な内容 交渉するタイミング 確定する書面
M&Aの方法と譲渡の範囲 株式譲渡・事業譲渡の選択、全部・一部の譲渡 ①・② 最終契約書
譲渡価格 評価額や取引条件を踏まえた価格 ①・②。②では調査結果を踏まえた調整もある 最終契約書
支払い方法 支払時期、一括・分割払い、業績に応じた追加払い ①・②。②では調査結果を踏まえた調整もある 最終契約書
経営者の処遇と引継ぎ 残留・退任、引継ぎ期間と役割、役員退職慰労金 ①・② 最終契約書
従業員の雇用と処遇 雇用の継続、給与・待遇、配置 ①・② 最終契約書
経営者保証と借入金の扱い 保証の解除・切り替え、借入金の返済方針 ①・② 最終契約書
表明保証・補償とクロージングの前提条件 保証する事項、違反時の補償、クロージングまでに満たす条件 主に② 最終契約書

※最終契約では、支払額の調整方法などを定める場合もあります。経営者保証の解除など、契約に書くだけでは完了せず、金融機関等との協議や必要な手続きが伴う事項もあります。

M&Aの方法と譲渡の範囲

まず、何を、どの方法で譲渡するかを話し合います。株主が株式を譲渡する株式譲渡と、会社が事業を譲渡する事業譲渡では、対価を受け取る人や引き継ぐ範囲、手続き、税金が異なります。

会社や事業の全部を譲渡することが必須ではありません。一部の株式や事業を譲渡するかどうかも、売り手と買い手の協議によって決まります。残したい事業や資産がある場合は、早い段階で希望を伝えましょう。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.48〜49/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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譲渡価格

企業価値評価(バリュエーション)で算定した評価額は、価格を考えるための判断材料です。実際の譲渡価格は、売り手と買い手が交渉して合意する金額になります。

意向表明書や基本合意書で示した金額を出発点として、デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終契約で価格や必要な調整方法を定めます。買い手が見込むシナジー(組み合わせによる相乗効果)や、ほかの候補先の有無によっても、交渉の結果は変わり得ます。

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支払い方法

譲渡価格とあわせて、いつ、どのように支払うかを決めます。一括払いのほか、クロージング後の分割払い(セラーファイナンス)や、譲渡後の業績などの目標達成に応じて追加の対価を支払うアーンアウトといった方法があります。

後払いを含める場合、売り手は約束した代金を受け取れなくなるリスクを確認する必要があります。買い手も、クロージング時の資金だけでなく、その後の支払いまで含めて資金計画を検討します。金額だけで比較せず、支払時期や支払いの条件を一緒に確認しましょう。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.53〜54/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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経営者の処遇と引継ぎ

売り手の経営者が譲渡後も会社に残るか、退任するかを話し合います。引継ぎの期間と役割、残る場合の立場や報酬、役員退職慰労金の金額・支払時期なども確認します。

「引継ぎに協力する」という合意だけでは、どの程度の関与を求められるのかが曖昧になります。取引先への紹介、技術や業務の引継ぎなど、必要な役割と期間を具体的にすり合わせておくことが大切です。

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従業員の雇用と処遇

従業員の雇用を継続するか、給与・待遇や配置をどう扱うかを話し合います。売り手の経営者にとって、従業員の将来は価格と並んで重要な条件になることがあります。

契約条件に加えて、買い手の経営者が、対象会社の幹部や従業員にどのような姿勢で接するかも確認しましょう。雇用や待遇についての希望は早めに伝え、合意できた内容を最終契約で確認します。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.35・46〜47/中小企業庁、2024年8月30日公表)

経営者保証と借入金の扱い

会社の借入金を経営者個人が保証している場合、その経営者保証は、M&Aによって解除できます。ただし、株式を譲渡するだけで自動的に解除されるわけではありません。解除や買い手への切り替えには金融機関との協議が必要で、売り手と買い手の契約だけで確定するものではありません。そのため、最終契約での取り決めも必要です。

保証の解除・買い手への切り替えをどのように進めるか、借入金を継続するか返済するか、誰がいつまでに対応するかを確認します。借入金の返済と、経営者個人の保証の解除は分けて整理しましょう。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.49〜52/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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表明保証・補償とクロージングの前提条件

表明保証とは、M&Aの最終契約で、売り手などが会社の財務・法務・労務などの一定の事項について、真実かつ正確であると約束することです。デューデリジェンスの結果を踏まえ、売り手が保証する事項や、違反した場合の補償の範囲・期間などを話し合います。買い手が表明保証を行う事項もあります。

あわせて、最終契約からクロージングまでに満たす必要がある条件を決めます。売り手・買い手のどちらが何を確認し、どのような状態でクロージングに進めるかを整理します。これらは主に、デューデリジェンス後の交渉で具体化する条件です。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.49・52〜53/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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売り手・買い手に共通する、条件交渉で気をつけたい4つのポイント

1. M&Aの交渉の流れを理解しておく

基本合意書で合意した条件は、その後の交渉の基準になります。どの段階で何を決め、何を後の調査や交渉に委ねるかを理解しておくと、希望を伝える時期を判断しやすくなります。

分からない点があれば、M&A専門業者に今後の流れを確認しましょう。特に、提示されている価格の前提や、まだ合意していない条件を把握しておくことが大切です。

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2. 譲歩可能な価格を決めておく

交渉に入る前に、売り手は受け入れられる価格の幅を、買い手は支払える上限を決めておきましょう。希望価格だけでなく、どこまでなら譲歩でき、どの条件は譲れないかを整理することが重要です。

売り手は、これを下回るなら譲渡に応じない最低ラインも考えておきます。借入金を返済する必要があるか、譲渡後の生活資金をどう確保するか、役員退職慰労金とどのように組み合わせるかなどを踏まえ、手元に残る金額から検討します。会社の借入金と、経営者個人の借入金や保証を分けて考え、税金や手取り額は税理士にも確認しましょう。

買い手は、買収の目的と資金の見通しに照らして上限を決めます。条件を合わせるために価格を引き上げた結果、買収後の運転資金や設備投資の資金が不足しないかも確認します。

価格以外の条件にも優先順位を付けましょう。希望がすべて通るとは限りませんが、譲れない点を決めておくと、相手の提案を受け入れるか判断しやすくなります。

次の表は、売り手が希望条件を整理する場合の記入例です。実際の希望条件や、当社が推奨する条件を示すものではありません。

交渉項目 希望条件 優先順位 譲歩の可否
譲渡価格 希望する金額と最低ラインを整理 高 支払い方法など、ほかの条件も踏まえて判断
従業員の雇用 雇用を継続 高 譲れない条件として整理
引継ぎ期間 自分が希望する期間を設定 中 役割や関与の程度に応じて調整可能

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.35・46/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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3. トップ面談は誠実に対応する

トップ面談での態度や言動は相手に直接伝わり、そこで築いた信頼関係は、その後の条件交渉にも影響します。相手の考えを丁寧に聞き、自分の希望や会社の課題についても誠実に説明しましょう。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.46/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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4. 後出しで条件交渉はしない

基本合意書の締結後やデューデリジェンス完了後に、新たな条件を持ち出したり、一度合意した条件の再交渉を求めたりすることは、相手方の強い不信感を招きます。こうした後出し交渉は、M&Aの破綻リスクを高める要因です。重要な条件は、基本合意の段階で可能な限り明確にしておきましょう。

ただし、デューデリジェンスで簿外債務(帳簿に載っていない債務)などの新たな問題が分かった場合は、譲渡価格を含む重要な条件の再交渉が必要になることがあります。条件が折り合わなければ、M&Aが成立しないこともあります。

こうした根拠のある再交渉は、事前に示していなかった条件を一方的に持ち出す「後出し」とは区別して考えます。また、表明保証・補償やクロージングの前提条件は、主にデューデリジェンスの後に交渉する条件です。これらの条件をデューデリジェンス後に交渉すること自体は、後出しには当たりません。

売り手が条件交渉で気をつけたい3つのポイント

1. 不利益情報は早めに伝え、情報開示で隠しごとはしない

未払いの残業代、係争、税務上の懸念など、会社にとって不利益な情報は、M&A専門業者に早めに相談しましょう。そのうえで、買い手候補へ伝える時期と方法を決めます。

企業概要書やデューデリジェンスで開示する資料・回答は、事実を正確に示すことが大切です。情報を隠したり、事実と異なる説明をしたりすると、後から分かったときに、価格の見直しや交渉の打ち切りにつながりかねません。

最終契約の後に分かった場合は、契約内容や事実関係によって、表明保証の違反として補償を求められることもあります。不明な点は断定せず、確認してから回答しましょう。

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2. 交渉の窓口と、相談できる相手を確認する

M&A専門業者に交渉支援を依頼する場合は、原則としてその窓口を通じて条件を調整しましょう。誰が相手に何を伝えたかを共有しておくと、認識の食い違いを防ぎやすくなります。

依頼先がM&A仲介であれば、自分の立場から契約や手取り額を確認できる弁護士・税理士も確保しておきましょう。価格の交渉を含め、依頼先にどこまで支援してもらえるかを確認しておくことが大切です。

相談の際は、秘密保持契約で専門家への情報開示がどのように定められているかも確認します。必要な相談ができない内容になっていれば、契約相手に確認し、相談先や開示できる範囲を整理しましょう。

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3. 譲渡後の自分の役割と引継ぎの条件を決めておく

交渉の前に、譲渡後も役員として残りたいか、引継ぎを終えて退任したいかなど、ご自身の希望を整理しましょう。事業に関わり続けることも、別のことに時間を使うことも、希望条件を考える出発点になります。

希望する引継ぎ期間、関われる日数や業務、役員退職慰労金を受け取る時期なども考えておきます。買い手が必要とする支援と自分の希望が合うかを確認し、無理なく引き継げる条件を話し合いましょう。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.35/中小企業庁、2024年8月30日公表)

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買い手が条件交渉で気をつけたい3つのポイント

1. 提示する条件の根拠と前提を示す

価格を提示するときは、どの資料や業績を基に判断し、どのような前提を置いたかを説明しましょう。例えば、提示額に含めた事業・資産の範囲や、確認が済んでいない事項を明らかにしておきます。

デューデリジェンスの結果によって変わり得る前提も、早い段階で共有します。金額だけを伝えるよりも、売り手が条件を理解し、検討しやすくなります。

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2. 条件を変えるときは、理由を具体的に示す

デューデリジェンスの結果を踏まえて価格や条件の変更を求める場合は、何が分かり、当初の前提とどの点が異なったかを具体的に示しましょう。

価格の引下げを求めるのであれば、判明した問題が収益や資産・負債にどの程度影響し、なぜその変更額になるのかを説明します。根拠や影響が整理できた段階で早めに伝え、価格の調整や契約条件による対応を話し合いましょう。

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3. 売り手が大切にしている条件に応える

売り手は、価格に加えて従業員の雇用や会社・事業の存続などを重視することがあります。相手が何を大切にしているかを確認し、買収後にどう対応する考えかを示しましょう。

例えば、従業員の経験や技術をどのように生かしたいか、経営者にどのような引継ぎをお願いしたいかを伝えると、譲渡後の姿を共有しやすくなります。実現できることと、さらに検討が必要なことを分けて説明することが大切です。

分割払いなどの支払い方法を提案する場合は、自社の資金計画とあわせて検討し、売り手が負担する未回収リスクについても話し合いましょう。

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FAQ

条件交渉は、売り手と買い手が直接行ってもよいですか?

M&A専門業者との契約で、候補先との直接交渉を制限する条項が設けられていることがあります。直接話をしたい場合は、まず契約内容を確認し、M&A専門業者に相談しましょう。

中小M&Aガイドラインでは、直接交渉を制限する条項について、対象となる候補先、交渉の目的、制限する期間を限定することが求められています。

(出典:中小M&Aガイドライン(第3版) p.104/中小企業庁、2024年8月30日公表)

複数の買い手候補と、同時に条件交渉を進められますか?

基本合意書などで特定の買い手に独占交渉権を与える前は、複数の候補先の条件を比べながら交渉を進めることがあります。

独占交渉権を与えた後は、その期間中、ほかの候補先との交渉が契約で定めた範囲で制限されます。意向表明書に対する応諾書など、基本合意書以外の書面で独占交渉権を与える場合もあるため、締結済みの書面を確認しましょう。

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デューデリジェンスの後に、価格を下げたいと言われたらどうすればよいですか?

まず、デューデリジェンスで何が分かり、それがなぜ価格に影響するのか、具体的な根拠の説明を求めましょう。価格の引下げに応じるかは、その理由と金額の妥当性を確認して判断します。

問題の内容によっては、表明保証・補償や支払い方法を調整して対応する方法もあります。ただし、それぞれ負担やリスクが変わるため、価格以外の条件も含めて検討することが必要です。ご自身で決めた最低ラインに照らし、M&A専門業者や弁護士・税理士にも相談しましょう。

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まとめ|条件交渉は、主な2つのタイミングを理解し、譲れる範囲を決めて臨む

M&Aの条件交渉は、基本合意書の締結までと、デューデリジェンスの後から最終契約の締結までが主なタイミングです。価格だけでなく、支払い方法、M&Aの方法、従業員・経営者の処遇、経営者保証などを話し合います。

交渉の前に、受け入れられる価格の範囲と、譲れない条件を整理し、M&A専門業者に伝えておきましょう。重要な条件を早めに共有し、調査結果を踏まえて調整が必要になった場合は、その理由を確認して判断することが大切です。

売り手は不利益な情報を早めに相談し、買い手は提示する条件や変更の根拠を具体的に示します。契約や税金などに不安があれば弁護士・税理士にも確認し、双方が理解した条件を最終契約にまとめましょう。